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- 治療方針(アキレス腱断裂)
アキレス腱断裂
アキレス腱断裂は「保存療法*」で治療できるって知ってますか?
*保存療法:手術のようにメスを入れず、ギプス固定と装具で行う治療のこと。
アキレス腱断裂とは
アキレス腱断裂は、足首の後面にある太い腱が切れた状態のことで、完全断裂と部分断裂にわけられます。
30代-40代の方によくみられますが、10代から高齢者まで幅広い年齢の方々に起こる可能性があり、スポーツ中に踏み込んだときやターンをしたとき、階段を踏み外したときなどに起こりやすいとされています。
腱が切れる瞬間は「ブチッ!」「バンッ!」という音や衝撃を感じる人が多く、「後ろから蹴られた感じ」「ボールをぶつけられた感じ」がすると言われています。
アキレス腱が切れるとふくらはぎの筋肉がうまく作用しないため、つま先立ちができなくなりますが、痛みが強くない場合は足を引きずりながら歩くことができます。

アキレス腱断裂の治療法について~手術療法と保存療法~
以前は手術療法が主流でしたが、現在世界的に保存療法が再注目されています。
手術と保存療法では、再断裂の差はないとする評価の高い論文が多数発表されています。
※ただし、日本とアメリカは手術により病院の収益が上がるため、手術療法を選択するケースが多いと考えられています。
一般的な保存療法のメリットとデメリット
メリット
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入院の必要がない
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会社や学校に通いながらでも治療が受けられる
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皮膚を切らないため感染症のリスクがない
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入院や手術の費用がかからない
デメリット
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病態把握が難しく経験が必要
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足首の運動開始時期などリハビリ開始時期の判断が難しい
米田病院であればデメリットなく安全な保存療法を提供できます
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高性能のMRIとエコー(超音波)機器を活用することで正確な病態把握ができます。
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保存療法で100例以上治療した経験から、独自の治療スケジュールを作成することで安全な治療を提供します。
※治療上の注意点などが守られた例はすべて経過良好でした。



米田病院で治療するメリット
メリット1
MRI検査とエコー検査で正確に病態を把握することで、安全に治療できます。
当院では初診時に、MRI検査とエコー検査でアキレス腱断端部同士の接触状態を確認しています。
接触している方が約9割に対し、接触していない方が約1割いますが、接触状態によって治療スケジュールが若干異なります。
精密検査で正確に病態を把握することで、より適切で安全な治療スケジュールを提案することができます。
接触している場合
初診当日から、痛みのない範囲で踵に体重をかけた松葉杖歩行を許可しています。
※
転倒によって治癒が遅れたり再断裂するリスクを避けるため、全患者様に松葉杖を使用しています。
歩行が安定したら徐々に松葉杖を除去していきます。
※
断端が接触する際の足首の角度によって、松葉杖歩行の許可時期が異なることがあります。
接触していない場合
体重をかけることによって再断裂や治癒が遅れるリスクがあるため、初診当日に体重をかけることを許可していません。
各々の患者様の経過にあわせて、徐々に体重をかけることを許可していきます。

メリット2
4~6ヵ月で運動復帰を目指します。
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初診時にMRI検査とエコー検査を行い、今後の治療方針を決定します。
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当院では、研究や経験の積み重ねによって独自に作成した保存療法の治療スケジュールを使用し、治療を標準化しています。それにより、足首の運動時期や運動開始時期を明確にすることができます。
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再断裂しないための注意点を十分に説明しご理解いただくことで、安心・安全な治療を提供しています。
メリット3
高性能な検査機器を活用し、きめ細かなフォローを実現しています。
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高性能な機器を複数台導入し、頻回にエコー検査を行い、治療経過を確認します。
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エコー検査で再断裂の危険サインなど疑わしい所見が見つかれば、MRI検査を追加で行い、病態の正確な把握を行います。
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エコー検査で断裂部の治療経過を動的に観察することで、安全な足首の運動開始時期を決定します。

再断裂のサインが出現した例

エコー(超音波)検査装置
メリット4
専門チームが常に新しい知見を研究し、日々研鑽しています。
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リハビリ科スタッフでアキレス腱を専門的に研究するチームを組み、海外文献の研究を行っています。
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毎年多数の全国的な学会で発表し、学会誌に論文投稿することで、アキレス腱断裂保存療法の新しい知見を発信しています。
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研究した知見をリハビリ科全体に周知し、アキレス腱断裂保存療法の治療レベルの標準化を図っています。


YONEDA式治療スケジュール(標準的早期加速リハビリ)
アキレス腱断裂治療の画像経過~MRI画像とエコー(超音波)画像~
ギプス固定・装具固定中のリスク管理~深部静脈血栓症と再断裂~
再断裂しないためには
ギプス固定時のリスク管理~深部静脈血栓症・エコノミークラス症候群~
深部静脈血栓症とは、脚や骨盤内などの深部静脈に血のかたまり(血栓)ができることをいいます。
脚のギプス固定、特にアキレス腱断裂では足首を固定するため血流が悪くなり、血栓ができやすくなります。
血栓が血管の壁からはがれて肺に運ばれ、肺動脈がつまってしまうと肺血栓塞栓症が発生します。
これをエコノミークラス症候群といい、突然死に至る場合もあるため、まずは血栓が出来ないように予防することが非常に重要です。当院では血栓症発生リスクの高い方に対して、スクリーニングのための血液検査をしたり投薬を行うなどの予防策を実施しています。
また、全患者様に以下の注意事項を説明し、リスク管理を行っています。
※他院で投薬治療を受けている場合は、必ずお申し出いただいています。
アキレス腱断裂治療についてよくあるご質問
1.仕事について
仕事はいつから復帰できますか?
事務仕事などの座り仕事であれば初診日から許可しております。
仕事はどのような内容であれば問題ないですか?
座り仕事であれば許可しておりますが、その他の仕事内容はご相談ください。
2.治療法ついて~保存療法と手術療法について~
保存療法で本当に治療できるのですか?
以前は手術療法が中心でしたが、現在は保存療法と手術療法で再断裂率に差はないという論文が多数出ており、現在では世界的にも保存療法が中心となっています。
また当院では、研究や経験の積み重ねによって独自に作成した保存療法の治療スケジュールを使用しており、現在までに100例以上治療した実績があります。
保存療法で治療した場合入院は必要ですか?
必要ありませんが、ご自宅で安静が保てないなどの理由により入院を希望される場合はご相談ください。
保存療法で治療した場合に後遺症はありますか?
普段の生活や運動、スポーツでは特にありません。
保存療法で治療した場合、再断裂しやすくなりますか?
なりません。保存療法と手術療法で再断裂率に差はないという論文が多数出ています。
世界トップレベルの医療機関の手術療法成績と比較しても、当院の保存療法における再断裂率は、非常に良好な成績を収めています。
3.運動復帰について
元のスポーツに復帰できますか?
競技レベルによりますが4~6か月を目安に徐々に復帰できます。
また、当院では以前保存療法で治療し、受傷後1年半で剣道6段の昇段試験に合格し、受傷後2年で大会で優勝した方もいます。
スポーツによって復帰レベルは違いますか?
特に差はありません。
ただステップ動作やジャンプ動作が多い競技は、アキレス腱の負担が大きいため復帰時期が遅くなる可能性はあります。
どのような経過でスポーツ復帰しますか?
4~6か月目から徐々に復帰します。
片脚でつま先立ちができたら、まずは軽いランニングから始めます。その後、徐々に激しい運動へとステップアップしていきます。
YONEDAの取り組み
※ここからは専門的な内容になります。
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当院はアキレス腱断裂の治療に注力しており、毎年複数の学会で発表や論文の投稿を行なっております。
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当院で行なっている新しい治療と研究内容についてご紹介します。
画像検査~エコー検査とMRI検査~
当院では定期的にエコー検査とMRI検査を行うことで、初期のアキレス腱同士の接触状態や治療中期の再断裂のリスクなど、アキレス腱の正常な病態把握と治癒経過を的確に判断することができます。
正常なアキレス腱

治療経過

MRI上腱断裂部同士の接触がない例の治癒過程
初診時にアキレス腱断裂部同士の接触がない例は以下の過程で治癒していきます。
1.断裂部同士が接触して治癒していく例

2.断裂部同士が接触せず、リモデリングが進行していく例

再断裂の危険サイン(安田徴候)
※参考文献:安田稔人ほか:スポーツによるアキレス腱断裂の保存療法.中部整災誌 2011;54:1173-1174
